テープ起こしの作業工程をご紹介!

テープ起こし アトリエ・ソレイユ|テープ起こしの作業工程をご紹介!


こんにちは、テープ起こし アトリエ・ソレイユの北村です。
アトリエ・ソレイユのテープ起こしは、どんな作業工程を経て原稿を納品させていただくのか。
ここで一挙ご紹介してみようと思います。
なお、これはあくまでも私独自の作業工程で、テープ起こし作業者それぞれのやり方があると思いますので、その点はあしからず願います。

1回目:粗起こし作業

ヘッドホンを装着し、音声を再生しながら、最初から最後まで一通りザーッと粗起こしをします。
その際、ご希望の起こし方の種類によって変わってきますが、「素起こし」の場合は発言どおり一語一句そのままに、「ケバ取り」「整文」の場合は、ある程度のケバを取りながら起こしていきます。

ちなみに、私たち人間が通常使う言葉には、「えー」「えーと」「あー」「あのー」「そのー」とか、特に意味の持たない「けど」「けれども」などの言葉を口癖のように語尾に付けたりしますよね。(注:本来の逆接の意味を持つ「けど」「けれども」の場合は別です)
このように、文脈や文意に関係のない言葉を、テープ起こし業界では「ケバ」と呼びます。

このとき使用するのは「Okoshiyasu2(おこしやす2)」という音声再生ソフト。
テープ起こしに特化した、テープ起こし屋の最大の武器とも言えるソフトです。

この段階の作業では、普通の録音状態なら、1時間の作業で約10分~20分の音声を起こしていけますが、録音状態が良くないもの、多人数の会話などでは、その半分ぐらいだったり、なかなか進まないことも多々あります。
そして、この時点では、聞き取れない言葉や難しい専門用語などは、とりあえずそのままにしておき、後の作業のためにマーキングしておきます。

2回目:念入りな聞き直しと校正作業

1回目とは別の音声再生ソフトを使い、念入りに聞き直しをしながら校正作業に入ります。
つまり、1回目にマーキングした箇所の突き詰め作業でもあります。
1回目に聞き取れなかった箇所は、聞き取れるまで何度も何度も聞き直します。
そして、いろいろな作業を同時進行させながら本格的な作業に入ります。

発言者の声の聞き分け(話者立て)
2人以上の会話の場合は、声を正確に聞き分けて発言者を特定していきます。
人数が多ければ多いほど、声の聞き分けには苦労しますが、それぞれの声質や話し方の特徴をつかむことがキーポイント!
長年の経験で7~8人ぐらいまでなら自然に特定できますが、それ以上の人数だったり、声質の似た方がいる場合は困難なケースも。
その場合は、それぞれの声のサンプリングを作成し、それを使いながら正確に話者立てしていきます。
ちなみに、お客さまから「話者メモ」や「発言メモ」をご提供いただくことがあるのですが、それは大変ありがたく、助かっています。

文章の整理
「素起こし」の場合は、句読点の位置に細かく配慮をし、できるだけ文意が通じやすい、読みやすい原稿に仕上げていきます。
「ケバ取り」「整文」の場合は、ケバを適宜に取りながら、文章の整理をしていきます。
このとき、何がケバなのかの判断力、前後の文脈を考えながら、文意が通じるように構築していく整文力、そういった「国語力」「国語的センス」が有る無しで原稿の完成度がグッと左右されます。

さらに、その原稿を第三者が読んだとき、読み手が理解できる文章になっているか。
ただ単に文字に書き起こしただけ、ケバを適当に取っただけの原稿ではプロの仕事とは言えません。
私はそれを最も意識して、文章の整理をしています。

専門用語・固有名詞等の検索
専門用語・固有名詞等をインターネットで検索し、確認していきます。
つまり、「コレで間違いない」という正確な裏付けを取る作業です。
ここでは、いわゆる「検索力」が必要になってくるのですが、目指す専門用語や固有名詞にヒットできるまで、キーワードをあれこれ取っ換え引っ換えしながら、いろいろな方向から攻めていきます。
日本語でヒットしなければ、英語でも検索していきます。

正直なところ、この検索作業が最も時間を要し、最も勝負を賭ける時間です。
1時間ひたすら粘っても、たった5分間の録音しか進まなかったり、分野によっては、1つの専門用語や固有名詞にたどり着くまで数時間かかることもザラにあります。
ですから、「コレだ!」という用語に到達・着地できたときは飛び上がるほどうれしいです 。
長年やっていても、この喜びは変わりません。

テープ起こしに向いている人って、どんな人?

ここでちょっと箸休め的なお話を。
そもそも、テープ起こしは非常に根気の要る仕事です。
いつもクリアな録音とは限りませんし、雑音が多く、聞き取り困難な録音のときも正直あります。
それでも頑張れる人、くじけない人。

また、検索作業が「最も勝負を賭ける時間」と書きましたが、ここもとにかく根気の要る、長い長い道のりです。
検索は、その用語にたどり着くための連想力や思考力も必要だと思いますが、ここでも頑張れる人、粘れる人、あきらめない人。

それに加えて、例えば日常生活の中で知らない言葉や分からないことに出会ったとき、そのままにしない人。
まずは自分で調べてみる人、調べずにはいられない人、調べることが好きな人。

テープ起こしのプロになるには、もちろん国語的センスも必要だと思いますが、根本的な適性として、こういう人が向いていると私は思っています。

3回目:さらに粘り強く作業

さて話は戻り、まだまだあきらめずに、しぶとく粘ります。
寝不足のままだと、やはり体力、聴力、集中力に限界が来るので、可能な限りの睡眠はとるようにしています。
そうすると、うそのようにスーッと聞き取れたり、検索の能率もグ~ンとアップします。

また、時間と距離をちょっと置いてみることも大切です。
その作業から少し離れて、例えば家事をしているとき、検索の別の方向性がフッとひらめくことも。
まさしく「神が降りてきたー!」という感じです。
そんな思わぬ奇跡が起きることもありますので、最後の最後まで、あきらめずに粘り続けます。
納期まで時間があれば4回目5回目と粘るときもあります。
そして最後にもう一度、誤字脱字がないか、原稿の体裁の確認など、全体の総チェックをします。

そんな作業を経て・・・納品

このように、とことん粘る、しつこい作業を経て、お客さまに原稿を納品しています。
よって、納品後の達成感と完全燃焼感は、ひとしおです。
とはいえ、どうしてもギブアップで、お手上げの箇所を残してしまうこともあり、そういうときは本当に悔しいです。
でも、「やれるだけのことはやった!」と心から言えるよう、最後まであきらめないことが私の信念です。

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